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第9回冒険教室「哲学対話」を実施しました!

  • 町営英語塾 HAN-KOH
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10月23日(水)に、津和野町の西周(にしあまね)顕彰事業とのタイアップにて、第9回冒険教室「哲学対話」を実施しました。

 

*顕彰(けんしょう)とは

あまり知られていないような個人の功績や善行などをたたえて、広く世間に知らしめることだそうで、類似する概念には表彰などがあるそうです。

 

 

HAN-KOHでは2021年から「生き方対話」という名称で、対話を通して物事の本質について考えたり、捉えたりする力を育むことを目的に開催しています。

 

一般的には哲学対話と呼ばれ、身の周りにある素朴な疑問について対話を重ねながら「その場にいる人にとって最も納得できる考え方」を探していく中で、自分の生き方や在り方について考えるきっかけとなることを目指します。

 

 

講師には、日本各地で哲学対話を行い、『水中の哲学者たち』『世界の適切な保存』などの著書もある哲学者の永井玲衣さんと、山口大学教育学部にて哲学の研究を行っている石井雅巳さんをお招きし、西周も学んだ藩校養老館にて哲学対話を実施しました。 

 

*「哲学」という言葉を最初に日本語に訳した(訳語を創った)のは津和野町出身の思想家・西周で、他にも「科学」「芸術」「概念」といった訳語も西周が創ったと言われています。津和野町は日本の哲学発祥の地とも言えるかもしれません。

 

 

“なんでだろう?”と思ったらそれがもう哲学

 

対話には、津和野高校1年生から3年生までの10名と、スタッフを含めたおとな6名の計16名が参加しました。

 

対話の場のファシリテーターを務めたのは、ゲスト講師の永井さん。

 

冒頭に永井さんから、

 

「”哲学している人”と”していない人”という分かれ方はなく、誰しもが哲学しています。身の周りのものについて、”あれ、なんでだろう?”と思ったらそれがもう哲学なんです。」

 

「討論ではなく対話なので、勝ち負けとか正しいとかではなく、言葉を伝えあいましょう。」

 

「良いことを言おうとしなくて大丈夫です。」

 

といった説明がありました。

 

最初に講師の永井さんから「哲学対話」について説明していただきました。

 

 

 

また、哲学対話のグランドルールとして

 ①よく聞き合う

 ②自分の言葉で話す、下手に話すことを喜ぶ

 ③人それぞれで終わらせない

の3点が挙げられ、哲学対話に臨む姿勢を示していただきました。

 

対話を始める前に「自分に名前をつける」ことを行い、対話の際には「話す人がぬいぐるみを持つ」といった、ふだんHAN-KOHで実施する哲学対話とは異なる場づくりを体験しつつ、問いを出す時間へと入っていきました。

 

発言者が安心して話せるように、「ぬいぐるみを持っている人が話す」というルールで実施しました。

 

 

 

まずは“なんでだろう?”=問いを出していく

 

始めは沈黙が続きましたが、高校生がちらほらと手を挙げ始めました。

 

1つ、2つと問いが出るにつれて、次の問いが出るスピードが上がっていき、場が熱を帯びていきました。

 

「なんで犬派・猫派と犬猫を対にするのか?」

 

「なんで朝起きれないんだろう?」

 

「なぜ死ぬのが怖いのか?虫を殺しても何とも思わないのに自分が死ぬのは怖い、そこに何の違いがあるんだろう?」

 

「子どもとおとなの境目ってなんだろう?」

 

「なぜ給食は中学校までなのか?」

 

「なぜ人は同じことを繰り返すのか?歴史でも同じことを繰り返すのはなぜだろう?」

 

「道徳は必要なのか?道徳が「利他的な行動」だとして、利己的であっても社会に貢献していればいいとは言えないのだろうか?」

 

「なぜこの世界に神様が生まれてきたのか?」

 

「『本当』ってなんだろう?ある人にとってそう見えるものも、他の人にはそう見えないかもしれないのでは?」

 

等、たくさんの問いが生まれました。

 

 

これを読んでいるみなさんは、どの問いについて対話してみたいと思いますか?

どれも面白い問いで、ついつい考えてみたくなってしまうのではないでしょうか。

 

1つ目の「なんで犬派・猫派と犬猫を対にするのか?」という問いが出た際には、

「1つ目からさっそく考えたくなってしまいたくなるけど・・・グッと我慢して他の問いも聞きましょう!」

と講師の永井さんを唸らせていました。

 

また、本人から「しょうもない問いなんですけど・・・」という控えめな前置きから飛び出した「なぜ給食は中学校までなのか?」という問いが出た際には、場が和やかな空気に包まれました。

 

高校生からもたくさんの面白い問いが出てきました!

 

 

 

「なぜ給食は中学校までなのか?」をテーマに対話

 

対話する問い(テーマ)は、シンプルに多数決で決めることになりました。すると、上記の2つの問いを選んだ人が多く、最終的に「なぜ給食は中学校までなのか?」が対話のテーマに決まりました。

 

提案した本人が「しょうもない問い」と思っていたものが支持を集め、選ばれる結果となりました。

 

その後の対話では、

 

「大人だって食べたいし、それなら大人になってからも給食があっていいのでは?」

 

「横浜では小学校までしか給食がなかったけど、なんでだろう?」

 

「そもそも給食ってなんのためにあるんだろう?」

 

といった問いが新たに生まれていきました。

 

 

さらに、

 

「親がお弁当を作るのが大変だから?」

 

「でもそれって高校になっても同じじゃない?」

 

「出されたものを感謝の気持ちを持って食べるんだよ。」

 

「みんなで一緒に食べることで仲間意識が芽生えるのではないか。」

 

「給食って教室でみんなで食べるけど、お弁当は外でも食べられるよね。」

 

「自分の家では出てこないような様々な料理を知れるのも給食の意義ではないか。」

 

など、次々に意見が出ていました。

 

 

そのような話をしているうちに時間は終了予定時刻になりました。定刻になると、どんなに話が盛り上がっていても対話を打ち切るのも、哲学対話の特徴の一つです。

 

講師の永井さんが対話を打ち切った瞬間、参加者からはまだまだ話し足りないといった表情や仕草が見られました。

 

参加した生徒からは、

 

「給食の話でこんなに話が広がり、盛り上がるとは思わなかった。」

 

「今回は選ばれなかった問いも面白そうだし、話してみたい。」

 

という感想がありました。

 

 

講師の石井さんからは

 

「今回はいつもに増して面白い問いが多かったし、発言者も切れ者揃いだったなと感じた。オンラインでの実施も可能なので、そうしたことも含め今後も一緒に活動できれば嬉しい。」

 

とのコメントをいただきました。

 

対話の時間が終わった後も話は尽きない様子でした。

 

 

全体としては、高校生の出す問いほど、おとなを唸らせていた印象でした。

特に1年生からは、おとなにとって意外な角度からの意見がいくつもあり、どんな発言が飛び出すのか楽しみに感じました。

 

高校生からは「来週もやりましょう!」と言われるほど、対話の時間への満足感は高かったようです。次回の哲学対話の展開が楽しみです。

 

この記事を書いた人
町営英語塾 HAN-KOH
町営英語塾 HAN-KOH
町営英語塾HAN-KOHは「津和野高校魅力化プロジェクト」の一環として、2014年に設立されました。津和野町で学び成長する生徒たちが多様かつ生きた情報に触れ、新たな知識や経験を得ることを目的としています。 私たちは、誰がどんな将来を選択しても、自信を持って歩めるように、常に一人ひとりの思いに向き合っています。