- 2023/01/13
財団職員インタビュー_Vol.7_佐々木桃子
- 松川雅美
財団職員の「いま」に迫る職員インタビュー。
今回は小中教育魅力化コーディネーターである、佐々木桃子さんにお話を伺いました。
はじめに、今取り組んでいることを教えてください。
津和野町では、①たての連携、②よこの連携、③0歳からの学びの3点を柱とした「0歳児からのひとづくりプログラム」*を策定し、推進しています。
私の役割は
小学校と中学校・中学校と高校、小学校と高校が連携した学び(たての連携)、
地域とつながる学校・学びの機会づくり(よこの連携)と、
中学生(個人・チーム)のプロジェクトの伴走です。
主にこれらの3つの役割を持って、津和野エリアの小中学校(木部小学校・津和野小学校・津和野中学校)に関わっています。
仕事としては、「総合的な学習の時間」をメインに授業設計・実施しています。具体的には、先生方の思いを聞きながら、一緒にアイデアを出し合ったり、地域資源をコーディネートしたり、時にはゲストティーチャーにもなったりしながら授業をともに作る存在です。また、他校種のコーディネーターとも情報共有しながら、エリアや校種を超えた実践にもチャレンジしています。ここ数年で、課外活動やマイプロジェクトを希望する中学生が増えており、活動の伴走をすることも増えました。
小学校と中学校とで、関わるときの違いは何かありますか?
先ほど「総合的な学習の時間」の授業設計・実施をしていると言いましたが、「総合的な学習の時間」は小学校は毎週授業があり、担任の先生が進行を担当します。対して中学校は毎週授業があるわけではなく、授業の実施も任せてもらうことが多いのが大きな違いですね。そのため中学校では学習の目的や内容だけでなく、「生徒への伝え方」も考えながら授業を進めています。
最近の動きについて教えてください。
コーディネーター2年目の時にスタートした「地域の大人との1:1の対話の場 ツワトーク」を10月に実施しました。この授業では、
①自分の経験を振り返り、言語化する
②様々な生き方・考え方を知ることで視野を広げる
③いろんな立場の地域の大人と出会う
この3つを目的としておいています。第3回目となる今年は、地域の大人の半分の方は初めてのご参加でしたが子どもたちの声をよく聞いて、共感しながらトークを進めてくださいました。大人側の感想では、人生を振り返る機会として、また中学生から刺激をもらう機会にもなったとのお声をいただきました。中学生の感想では、「相手の方が話しやすい雰囲気で本当に自分の思いを素直に伝えることができました。」「自分では短所だと思っていたことを、長所の視点として捉えてもらえた。」「次にチャレンジしたいことができた。」などがあり、前向きな思いをたくさん感じました。
11月には、小学6年生と中学3年生の「小中ツワトーク」も実施しました。感想を読むと、「小6の時に小中ツワトークがあったらよかったな」という思いを持ってくれている子が多く、「必要感」や「意味」を感じて取り組んでくれていることが嬉しかったです。また、中学3年間の人生グラフを書いたこと・6年生の姿を見たことで過去を思い出し、「書き出すことで改めて振り返ることができた」「日々の積み重ねを意識することができた」と書いてくれいたことも印象的でした。6年生の質問にもしっかりと受け答えをしたり、取り組みを深く振り返る様子に3年生の成長を更に感じる機会になりました。
仕事に対するやりがいや、やっていて良かったと感じる瞬間はありますか?
大きく分けて4つあります。
1つ目は、先生と授業設計をしているときに、先生の子どもたちに対する思いに触れながら、活発に意見交換ができているときです。
2つ目は、学校の中と外での子どもたちの様子の違いを見たときです。自分自身の変化や成長を実感できていた姿を見たときは、「子どもたちが力を発揮できる場がつくれたんだ」と思えて、嬉しかったです。
3つ目は大人同士で活発に議論できているときです。地域とつながる学校・学びの機会づくり(よこの連携)の一環で、所属は違えど子どもたちに対して同じ思いを持っている方々と活動しているのですが、振り返りと挑戦を繰り返せる環境になっています。話し合いをしていても、それぞれバックグラウンドが違うので自分の思考の枠を出れる感覚があって面白いです。
4つ目は、学校と地域のニーズがマッチングできたときです。町の教育委員会とよくコミュニケーションをとりながら活動しているので、町の資源にたくさん触れることができ、学校の授業に繋げやすいところが良いところかなと思っています。自分が入ったことでうまれるコミュニケーションが学習に発展する瞬間に、やりがいを感じます。
▲中学生の活動に伴走している様子
今後やっていきたいことや、展望などについて教えてください。
小学校と中学校どちらにも関わらせていただく中で、子どもたちの学びは「積み重ねられている」「繋がっている」と実感しています。だからこそ私の立場では、まずは「義務教育」の範囲で軸を持って繋がり、より深く、その子の心に残るような学びが生まれる授業・カリキュラムづくりを今後サポートしていきたいです。そのために、自分自身も勉強していきたいです。
*津和野町「0歳児からのひとづくりプログラム(概要版)」
https://www.town.tsuwano.lg.jp/www/contents/1515570765427/files/0sai_program.pdf