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ツコウ生の活動紹介~『黒田珈琲』₋黒田飛鳥さん(3年生)

  • 内谷愛
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2023年12月、津和野高校内に「黒田珈琲」がオープンしました。

 

「黒田珈琲」は、現在津和野高校(ツコウ)3年生の黒田飛鳥さんが1年生の時に開始して時々開いているコーヒー屋さん。1杯100円で提供されるコーヒーは毎回大人気で、この日も50杯準備したコーヒーが生徒や教職員に販売され、あっという間に売り切れました。

 

ツコウには、つわの学びみらいの教育魅力化コーディネーターが4名(2024年1月時点)関わっており、高校生のやりたいことのサポートや、総合的な探究の時間の設計等に、高校の先生と協力して取り組んでいます。

 

今回は、1年生の時から「コーヒー」をキーワードに高校内外で自身のやりたいことに取り組んできた黒田飛鳥さんの活動を紹介します。

 

 

 

「カフェの店員さんってかっこいいな~!」気持ちを口に出したことがはじまり

 

津和野町の隣に位置する益田市出身の黒田さん。

高校に入学してすぐの担任の先生との面談で「カフェの店員になりたい」という想いを話したところ、当時高校に常駐していたコーディネーターと話してみたら?と先生が勧めてくれたことがきっかけでした。

 

そのコーディネーターと話す中で、ほとんどコーヒーを飲んだことも淹れたこともないことに気づいたという黒田さん。

カフェ店員に興味があるならまずはカフェに行ってコーヒー飲んでみたら?と勧められ、町内にあるカフェに行ってコーヒーを飲んだり、コーディネーターにコーヒーを淹れる道具を借りて淹れてみたりと、少しずつ行動をはじめたそうです。

 

 

「休み時間や放課後にコーヒーを淹れて、友達や先生方に飲んでもらっては感想を聞いていました。最初は淹れ方もよくわからなくて、コーディネーターの方に教えてもらったりしながら豆を挽いたりしていました。

数日後に、校長先生がコーヒーの本を貸してくれて、初めてコーヒーについて勉強したんです。当時は豆の産地なども知らなかったし、『モカ』ってなに?っていうレベルでした笑。」

 

日原地区にある「カワベ」のイベントで仲間と珈琲を淹れる

 

 

カフェで手伝いをしながらコーヒーについて学べることに!

 

その後もコーディネーターが気にかけて声をかけてくれ、益田市にあるカフェに一緒に行って、オーナーに生豆を見せてもらったり、話を聞かせてもらったそうです。そして、コーヒーについてもっと学ぶためには何からすればいいかを聞いたところ、まずはいろいろなコーヒーを飲んでみて、自分の好きなコーヒーを見つけてみてはどうか?とアドバイスいただいたそうです。

 

その数日後に再びそのカフェにコーヒーを飲みに行ったところ、オーナーが「うちで簡単な手伝いをしながらお店のコーヒーを飲んで勉強してみる?高校生だしコーヒーをたくさん飲むお金もないだろうし。。」と声をかけてくれたそうです。

 

「考える間もなくその場で反射的に『やります!』と答えていました。帰り道ワクワクして、ニヤニヤしながら帰ったのを覚えています。」

 

その時(1年生の夏)から現在も、週1~2回のペースでお店に通い、一日中いる時も少なくないとのこと。

最初は窓ふきなどの掃除や皿洗いをしたり、トレーの持ち方を学んでお皿を下げたりと、コーヒーに関わることはなかったけれど、自分のやりたかったことができるのが嬉しかったそうです。

 

今では焙煎後の豆のチェック(焼け具合や石が入っていないか等)の方法や、販売用の豆の扱い方なども学ぶことができ、嬉しいと話してくれました。

 

手伝いの合間には、黒田さんが豆を挽いて淹れたコーヒーをオーナーやスタッフの方に飲んでもらってはアドバイスをもらい、実践的に学ばせていただいたそうです。

またある日、オーナーからコーヒーについてのクイズを出されたが答えられず、悔しかった経験から、本で勉強するようになり、今では少しずつ知識もついてきています。

 

 

文化祭では高校の校長室で黒田珈琲をオープン

 

 

 

「働く」という経験の大切さを感じた

 

「お手伝いとはいえ、お客様から見たら一人の店員のように見られている環境は、中学校や高校で経験した職場体験とは全然重みが違って、働くことの大変さや責任の重さを間近で感じることができました。

そして、同じことをやっても自分は時間がかかるのにおとなの人たちはすごく早くて。作業の効率が全然違うことに気づき、なぜだろうって考えるようになったんです。

 

そして、1日1個は何かを覚えようと思い、毎回自分に課題を課して取り組むようになりました。今日はカップを出すときに手が震えないようにしようとか、オーダーを間違えないように取ろうとか。

そして毎回、帰り道で振り返りをして、反省点を次回の課題にして取り組んでいます。」

 

働いているおとなと関わる、という経験が、人の優しさに気づいたり、もっと知りたい、学びたいと思うきっかけになったとのこと。特に人としての自身の成長に繋がった点がとても良かったと黒田さん。

 

 

「お店の方々がすごく優しくて、慣れるにつれて、僕がやりやすいようにみなさんが気を配ってくれていたことに気づいたんです。

 

自分は高校生にしてはできている方なんじゃないかと思ったこともありましたが、身の丈を知ったというか、社会の中での自分の力のなさを痛感しました。人間面でも自分はまだまだだと思い知らされ、そこから考え方が変わりました。自分中心じゃなくなり、謙虚さを持てるようになりました。

 

そしておとなの人たちの気配りを目の当たりにして、そういうことが大事なんだと気づいたことで、どうすれば周りの人に気持ちよく動いてもらえるのかを自分も考えるようになりました。」

 

 

周りの人たちが良い人ばかりだったからこそ、働いている人への尊敬も増したそうです。

 

 

ツコウに来ていなかったら今の自分はなかった

 

高校では1年生の時の文化祭をはじめ、地域のイベントやグローカル・ラボ(地域系部活動)のイベントなど、さまざまな機会で珈琲を淹れていましたが、2年生になってからはモチベーションが上がらず学校ではほとんどやることはなくなったそうです。

 

そんな中、地域のカフェでも月に数回、イベント時の出張販売のお手伝いをしたり、津和野会議(リンク:)でカフェのお手伝いなどをしたりと、徐々に地域での活動を再開。

3年生になった時、高校のある先生が親身にいろいろな話を聞いてくれたことがきっかけで、これまで周りの人に声をかけてもらってやっていた黒田珈琲を、はじめて自分から企画したそうです。

 

そして12月の終業式の日にツコウでは約2年ぶりに黒田珈琲をオープン。

その先生がサポートしてくれたおかげもあり、約50杯のコーヒーがあっという間になくなりました。

 

 

地域のカフェの出張販売でコーヒーを淹れて提供

 

 

約2年ぶりにツコウで黒田珈琲をオープン。この日も大盛況

 

 

「今考えると自分でやったというよりは、文化祭で一緒にやってくれたメンバーやグローカル・ラボのみんな、先生、コーディネーターの方など、周りの方々のサポートのおかげでできたんだなと思います。何かひとつでもなかったら、一人でも欠けていたらその時に『黒田珈琲』は終わっていただろうなって、こんなに続けられていなかったと思います。

 

ツコウに来ていなかったらまずコーヒーに出会わなかったと思うし、コーヒーを通して得た様々な経験もできなかったと思います。

 

高校に県外生が多いのも新鮮だったし、グローカルラボという一つの部活動が、僕のような個人の活動にがっつり関わってくれるのも新鮮でした。

 

意外にヒトって優しいんだなとか、都会のやつらって意外にいいやつなんだなって思ったり笑。

とにかく人生観が大きく変わった3年間になりました。

ツコウがなかったら今の自分はなかったと思うし、人生の大きな分岐点になりました。満足度200%です笑。」

 

 

そう笑顔で話してくれる黒田さんはとてもキラキラしていました。

 

卒業後は専門学校に進学し、コーヒーについてもっと深く学ぶ予定だそうです。

そして卒業後も、鍛錬行事や文化祭などツコウや津和野町に関わり続け、黒田珈琲をやりたいなと思っていると嬉しそうに話してくれました。

 

また津和野で黒田珈琲を味わえる日を楽しみにしています。

 

この記事を書いた人
内谷愛
広報
内谷愛
北海道から広島まで、日本各地で過ごした幼少期。民間企業勤務時に海外の文化に接して刺激を受け、約15か国を旅しました。もっと現地の人と関わりたくて、ワーホリでオーストラリアへ行ったり、ボランティアでアフリカへ。そこでの生活を通して、幸せや豊かさ、自分がどう生きたいのかを考えるようになりました。国際理解教育に携わり、団体・高校等でのコーディネーターを経験。キャンプと旅と音楽が好き。広報を通してみなさんとつながれたら嬉しいです。