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ツコウ生の活動紹介~『大好きな津和野に恩返し!』濵野怜央さん(3年生)

  • 内谷愛
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埼玉県から地域みらい留学で津和野高校に来た濵野怜央さん。

 

津和野高校では、3年生の3学期は自由登校ということもあり、寮生の多くが地元に帰ります。

 

そんな中、卒業式まで津和野町に残り「なんでもOK!色々なことお手伝いします!!」という手書きのボードを背負ってまちを歩いていた濱野さん。除雪やゴミ拾いなどのお手伝いをしていました。

 

今回は、津和野町が大好きでまちに残り、様々な活動をしている濵野怜央さんを紹介します。

 

 

 

入学前から、ツコウ生の変化に驚き、まちの人の距離の近さに感激!

 

インターネットで津和野高校の写真を見て、なんとなく良いなと思ったのがきっかけで、しまね移住フェアに参加したという濵野さん。そこで話した津和野町の人たちの距離の近さと親しみやすさに好感を持ち、津和野高校の見学に訪れました。

 

その時、津和野高校の地域系部活動「グローカルラボ」の先輩たちが、先生から突然、高校の紹介をしてあげて、と言われたそうです。

 

心の中で濵野さんは「えっ、そんな急に言われて高校紹介するとか絶対無理でしょ!」

と思ったそう笑。

 

しかし、グローカルラボの先輩たちは、すらすらと、しかも楽しそうに高校の魅力を話してくれて驚いたそうです。そして後から先生に「1年生の時はあんな風に話したりはできなかったんだよ~」と聞いてさらに驚いたそうです。

 

 

濵野さんの驚きはこの後も続きました。

 

津和野駅から高校までの道を歩いていた時に、まちの人がたくさん話しかけてくれました。

 

「こんにちは。」

「どこから来たの~?」

「気を付けてね。」

 

地元ではなかった距離の近さやまちの人の温かさ、そして先輩の変化に感激し、津和野高校への進学をその場で決めたそうです。

 

 

 

 

“会話”ではなく”対話”ができる友達ができた高校生活

 

ツコウで寮生活をしていた濵野さん。

 

「ツコウで会う人は、今まで出会ったことのないタイプの人たちばかりでした。そして友達、先生、地域の人などみんなとにかく距離が近いので、距離が近いからこそ自分の中ではじめて抱いた問題について、悩んだり考えたりすることが増えました。

 

そしてそれを解決するために友達と密に話をすることで、”会話”ではなく”対話”ができる友達、”心の友”と呼べる友達がはじめてできたんだと思います。

 

親元を離れての生活だったので、自分で解決し、切り拓かないといけない環境でした。それも友達と密な関係を築けた理由なのかなと思います。」

 

寮のイベント「ホタル観賞ツアー」で友達と

 

 

 

 

ジェンダーについて感じた違和感から、探究活動に取り組む

 

入学時は特にやりたいことがあったわけではなく、1、2年生の時は合唱部に所属し部活動に打ち込んでいました。

 

そして2年生の「総合的な探究の時間」で、普段の生活で耳にすることがあった”LGBTQ”についての探究活動を行いました。その中でLGBTQについて考える会に参加し、もっと小さい頃から知り、考える機会があると良いのではないかと思ったそうです。

 

そして、教育魅力化コーディネーターに相談し、3年生の春休みに、実際に隣の益田市の小学生(高学年)を対象にLGBTQについての講座を実施しました。

 

「今後もし当事者になったり、当事者の人に出会ったときに、ギクシャクしないとか、誰かが傷つくことが減るといいなって。そうなったら嬉しいなと思って実施しました。」

 

 

講座の様子

 

 

自身で講座をやってみたことで、自分自身にも様々な気づきや変化があったそうです。

 

「自分自身も日常生活の中で、様々な違和感を感じていることに気づいたんです。男らしくしなさいとか、女なんだからとか、小学生と遊ぶ中でもそういう発言を聞くことがあるなって。

 

遊びの中でも、例えばこの道具はこうやって使わなきゃいけない、とか。

 

ジェンダーに関することだけでなく、もっといろいろなことについて、決めつけるのではなく多様であっていいんじゃないかなって思いました。

 

なので、誰しもが関わりのあるジェンダーを例にして、小学生に伝えられたらいいなって思ったんです。」

 

 

 

 

町内の小学校で「当たり前ってなんだろう?」をテーマに講座を実施

 

そして、2月21日(水)に津和野小学校の3年生11名を対象に、2月22日(木)に青原小学校5・6年生11名を対象に、「当たり前ってなんだろう?」というテーマで講座を実施しました。

 

「町内の小学生を対象に講座をしたいと教育魅力化コーディネーターの方に相談して、打ち合わせの調整や講座内容の設計などサポートしていただき実現しました。

 

講座では、みんなにとっての”当たり前”や”違い”を考えるワークを実施し、金子みすゞさんの詩『私と小鳥と鈴と』を紹介したり、ジェンダーを例に”多様性”についてみんなで一緒に考えました。」

 

 

参加した小学生からは

 

「以前道徳の授業で同じ詩を読んだけど、その時よりも詩の意味を考えながら読めました。」

 

「自分と相手の意見が違った時に、考えを人に押し付けるのは良くないと感じました。」

 

「話を聞くまでは、みんなとそろえて一緒じゃなきゃいけないと思っていましたが、今日の話を聞いて周りに合わせなくてもいいんだと思いました。」

 

などの感想がありました。

 

 

「今回、講座をやってみて”伝える姿勢”と”相手に寄り添う”ことがとても大事だと感じました。伝えたい相手に合わせて、自身が伝え方や話し方を変えたりするなど、その人に一番伝わる方法を考えることが大事だと実感しました。」

 

 

小学校では、「当たり前ってなんだろう?」をテーマに講座を実施

 

 

 

まちのおとなが親がわり。いつでも見守ってくれた

 

寮生活をしていたこともあり、まちのおとなだけでなく、高校近くの小学生のご家族など、子どもたちとも仲の良い濵野さん。

 

「価値観や育ってきた環境が異なる友達や地域の人に囲まれて過ごしたことで、その場を楽しむだけでなく、今のこの行動だったり話していることには、どんな意味があるのだろう?って普段の生活からも学びを得るようになりました。

 

友達も地域の人たちも、みんな良い人たちばかりで、津和野生活はとても居心地が良かったです。それこそ子どもから高齢の方まで多世代の人とまんべんなく関わることができて、そういう環境にも感謝しています。だって、地元では小学生と遊んでたらやばいやつって見られますからね笑。

 

そして自分が何かに挑戦する時、まちのおとなが必ずそばで見守ってくれていて、親と離れて暮らしていたこともあり、周りのおとなが親みたいな感覚でした。」

 

良いことばかりではなかったけれど、それも含めて津和野町で過ごした高校生活は満足度100%だと話してくれました。

 

 

 

 

「なんでもOK!色々なことお手伝いします!!」でまちの人に恩返し

 

1月から時間のある時には「なんでもOK!色々なことお手伝いします!!」と手書きした大きなボードを背負ってまちを歩き、駐車場の除雪やゴミ拾いなどを行っている濵野さん。

 

ボードを背負って歩き、まちでお手伝い

 

 

 

「お世話になったまちの人たちに恩返ししたいと思った時に、県外生としても何かできないかなと考えました。

 

そして、まちの中をこんなボード背負って歩いてる子がいたな~、いろいろ手伝ってくれて助かったなあ~って思ってくれる人がいたら、後輩やこれから入学してくる県外生と、まちの人たちとの距離が近づくんじゃないかって思ったんです。

 

そうしたら、後輩たちが何かまちで活動したい!と思った時も、活動しやすくなるんじゃないかなって。」

 

 

 

 

 

4月からは大学で社会福祉士になるために学ぶ予定です。

 

「津和野町に来て、小学生から高齢の方までいろいろな人と話す中で、人と関わって、その人と一緒に何かをしたり、人の助けになるような仕事がしたいと思うようになりました。

 

大学卒業後は津和野町に戻ってきて社会福祉士として働きたいなって思っています!」

 

 

埼玉県から津和野高校に入学し、親元を離れまちの人たちに見守られて過ごした3年間。

 

行動することでどんどん人とつながり、またそこから次の「やってみたい」を実現するために動いている濵野さん。はじめの一歩を踏み出すその姿は、津和野のまちにもたくさんの刺激を与えてくれたのではないでしょうか。

 

また津和野で濵野さんに会えるのを楽しみにしています。

この記事を書いた人
内谷愛
広報
内谷愛
北海道から広島まで、日本各地で過ごした幼少期。民間企業勤務時に海外の文化に接して刺激を受け、約15か国を旅しました。もっと現地の人と関わりたくて、ワーホリでオーストラリアへ行ったり、ボランティアでアフリカへ。そこでの生活を通して、幸せや豊かさ、自分がどう生きたいのかを考えるようになりました。国際理解教育に携わり、団体・高校等でのコーディネーターを経験。キャンプと旅と音楽が好き。広報を通してみなさんとつながれたら嬉しいです。