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ツコウ2年生の「総合的な探究の授業」では、町内の公民館を拠点に探究活動を展開しています!

  • 中村 祐美
  • 中村 祐美

津和野高校(ツコウ)では、「やってみたい」を「やってみる」ことを大切にし、「総合的な探究の時間」をT-PLANという名前で一貫したプログラムとして設計・運営しています。

 

・ツコウの「総合的な探究の時間」の全体像についてはこちら

 

・1年生の探究講座”ブリコラージュゼミ”の様子はこちら

 

 

2年生は、1年生で見つけた興味関心=「やってみたい」を深めていくことに挑戦します。

 

 

ツコウの”探究”3STEP

 

 

 

今年度は、地域の公民館を拠点とした活動を行うことで、

 

高校や高校生にとって

「地域にどんな資源があるのかわからない」

「生徒の活動に寄り添ってくれる人を増やしたい」という課題感や、

 

地域が抱いている

「高校生の姿や活動が見えない」

「高校生と何かしたくても、窓口がわからない」

「コーディネーターや教員が入れ替わると活動を継続しづらい」という課題感の解決にもつながるのではないかと考えています。

 

また、地域コーディネーターとしての役割も担う公民館が、高校生と地域の人や資源を繋いでくれることで、公民館自体の活性化にも繋がることを期待しています。さらには、地域のおとなにとっても、高校生と関わることが、刺激や学びを得る機会になると考えています。

 

 

 

町内の公民館を拠点に活動することで、地域の役に立つ喜びも!

 

生徒の中には、やりたいことが明確な人もいれば、なんとなく地域の役に立つことをしたいという人、まだまだ何がやりたいかわからずモヤモヤしている人等さまざまです。

 

そのため、今年度は町内の公民館と連携し、公民館を拠点とした全5回の探究活動”ツコウセッション”を行うことで、その地域の人や魅力的な場所に触れて、自分たちが役に立てることを探し、取り組みます。

 

ふだんあまり行く機会のない地域を訪れ、半日から1日を過ごし、そこに住む様々な人と出会い、話し、やってみたいと思ったら何かやってみる。

 

この活動を通して、自身の興味関心がどこにあるのか?何をやってみたいのか?に気づくことで、自分の気持ちの変化に気づいたり、地域の人と関わる中で、協働性やコミュニケーション力を育みます。

そして、地域の役に立つ喜びを感じることで、自己肯定感を持って社会に関われるようになることを目指しています。

 

拠点となる公民館は、青原公民館、左(さぶみ)公民館、津和野公民館、日原公民館、畑迫公民館の5つです。

*津和野町内には全部で10の公民館があり、今年度は上記5つの公民館を中心にセッションを行う予定です。

 

また、やりたいことが決まっている生徒や高校を拠点にプロジェクトを行いたいという生徒は、ツコウを拠点に5回のセッションを実施します。

 

 

各公民館で、第1回目のセッションをスタート

 

6月13日(木)に実施した第1回目のセッションでは、各公民館の館長さんや主事さんとともに、まずは地域を知るためのフィールドワークを行いました。

 

津和野公民館以外は、ツコウから歩いて行ける距離には位置していないこともあり、初めて訪れる生徒が大半です。

 

青原公民館では、地元在住の生徒の案内で地域の小学校や保育園へ。

 

日原公民館では、近くを流れる日本一の清流、高津川へ。

 

日本一の清流、高津川を満喫!

 

 

畑迫公民館では、国名勝にも指定されている堀庭園旧畑迫病院を見学し、左公民館では、ふだん地域の方が行っている竹の伐採(竹切り体験)をさせていただきました。

 

初めて訪れた堀庭園。とても気持ちいい。

 

 

生徒たちは、それぞれの地域に何があるのかを五感で捉え、地域に浸る時間を満喫したようです。

 

左鐙で竹の伐採を体験

 

フィールドワーク終了後は各公民館で振り返りを行いながら、地域が抱える課題を公民館の方から共有していただきました。そして、自分がフィールドワークで体感した”地域”と照らし合わせながら、自身の興味のあること、やってみたいことをふせんに書き出して共有しました。

 

ツコウと津和野公民館を拠点に活動している生徒たちは、プロジェクトの資金集めに町へ出かけて行ったり、先生や公民館主事さんに相談したりと、自ら計画し、活動する姿が多く見られました。また、津和野公民館では卒業生2名のサポートによって、空き家問題に興味のある高校生を、地域の方と繋ぐ場面もありました。

 

 

第1回セッション後の生徒の感想を紹介します

 

「小さい頃から津和野に住んでいて、町の人に支えてもらいながら育ってきた。そして、やりたいことに取り組む時も、いつも町の人が協力してくれて嬉しかった。セッションでは、過去にあった津和野の行事を復活させて、これからまた続けていけるように取り組んでいきたい。」(ツコウを拠点に活動)

 

「田舎ならではの良さをたくさん感じた。高津川につながっているであろう排水路に子どもの鮎がいたり、田んぼには大量のオタマジャクシがいたりなどたくさんの”生”を感じた。空気も美味しく天気も良く、なんだか気持ちがスッキリした。

使われなくなった学校の体育館を訪れた時、昨年開催された地域の運動会の写真があった。小さい子どもから高齢の方まで、多世代の人たちが参加していて地域交流をしっかりしていると思った。」(左公民館)

 

「青原地区なら、自分のやってみたいことを実現できそうな気がした。公民館の方々がとても優しく、力になってくれそうと感じ、もっと青原の方々といろいろ話して、取り組むテーマをじっくり決めたいと思った。やってみることが大事だと学んだ。」(青原公民館)

 

「探究はとても楽しいということを感じた。まち歩きをして、津和野にはこんなところがあるんだということに改めて気づいた。」(津和野公民館)

 

「地域の方々は知識が豊富だなと思った。地域の方の話を聞いていると、穴の中に大蛇がいたという伝説があったりと、地元である日原にずっと住んでいても知らなかったことがたくさんあった。清流日本一である高津川がとてもきれいなのは、地域の方が地元を大事に思っているからだと思った。」(日原公民館)

 

「地域の高齢化がかなり進んでいて深刻な状況ながらも、公民館の方々を中心に、この状況をなんとか改善しようと頑張っている姿を見て、心を動かされた。モルック大会の開催や、堀庭園、糧などの良い施設もたくさんあったので、もっとSNSなどを活用して宣伝をして、交通手段も増やせたらいいと思った。」(畑迫公民館)

 

生徒それぞれに、様々な気づきや気持ちの変化があったようです。

 

 

 

公民館の方の感想を紹介します

 

「ふだんは高校生がまちを歩いている様子や、地域住民と話している姿を見ることがほとんどないので、新鮮だった。」

 

「高校生の振り返りを読んで、こちらの伝えたいことが思っていたよりも伝わっていたことが分かり、嬉しい。」

 

「高校生の学びにつながるものがどこにあるかは未知数なので、その種を蒔いていけるようにしたい。」

 

「高校生が、フィールドワークを通して新たな発見をしている姿を見て、これをきっかけにこの地区の人や場所とのつながりを持ってもらえるようにサポートしていきたい。」

 

「公民館という場所に来る機会もあまりないかもしれないので、公民館事業や地域イベントにも積極的に参加してもらう機会を増やせるようにしたい。」

 

現時点では、各公民館を拠点に何をやってみたいのか、まだ具体的には決まっていない生徒が多いですが、今後、地域の方とより深く関わり合いながら、自身の興味関心や、地域のニーズに基づく活動に繋げていく予定です。

 

津和野町でツコウ生を見かけたら、ぜひ話をしたり、聞いたり、見守ったりしていただければと思います。地域のみなさまとの関わりが、高校生にとっての学びにつながります。これからも応援よろしくお願いします。

 

この記事を書いた人
中村 祐美
教育魅力化コーディネーター (寮生・下宿生担当)
中村 祐美
静岡県出身。児童養護施設に10年勤めた後、森のようちえん研修生、一時預かり専門託児所保育士を経て現職に流れ着きました。「山のこども園うしのしっぽ」の保育士とコミュニティナースもしていて、津和野の幼児〜老年期までを覗き見しています。ここ数年のテーマは、“お互いを尊重し合うこと” ”共感と対話のある生活“”やりたさと納得感”です。趣味は積ん読(つんどく)と、小川の水路を整えること。友達と「つわのホイスコーレ」を主催しています。