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津和野高校生が企画し、津和野地区の伝統行事『灯篭流し』が復活しました!

  • 中山純平
  • 中山純平

8月18日(日)に、5年ぶりとなる『灯篭流し』が津和野大橋周辺で行われ、津和野川に約1,000個の灯篭が流れました。

 

ツコウ2年生の原田友暉さん(津和野中学校出身)が、「幼少期に見た灯篭流しの景色を津和野からなくしたくない」との想いで企画し、津和野地区の方約10名と、高校生有志とともに実施しました。

 

原田さんは昨年12月にも「New action!地域で作る和紙灯篭!」と題し、巨大な和紙灯篭のモニュメントを製作・展示する企画を実施しています。

 

ツコウ1年生有志が「New action!地域で作る和紙灯篭!」を実施しました

 

 

その時の経験から、今度は自身が憧れた灯篭流しそのものを実現しようと考えた原田さん。公民館の方に自身の想いを伝え、かつて「灯篭流し」を企画・実施していた津和野地区の方々を紹介してもらい、実現に向けて動き始めました。

 

 

 

 

地域の方の協力のもと、「総合的な探究の時間」も使いながら一歩ずつ前へ。

 

原田さんの想いを聞いた『灯篭流し』企画メンバーの一人である千端将揮さんからは、

「我々も『灯篭流し』を復活させたいと思っていたし、高校生からこのような声が上がるのは嬉しいです。企画メンバーも高齢化してきていて続けていくのが難しい状況もあるので高校生の力を借りられるならありがたいです。」

との回答をいただき、灯篭流しの復活へ向けて一緒に準備を行うことになりました。

 

そして千端さんから、まずは企画の土台を作ってほしいと依頼された原田さん。

 

「タイムテーブルや流す灯篭の数など、初めて考えることがたくさんありました。

どこから準備を始めればいいのかわからなくなることもありましたが、『総合的な探究の時間』を活用したり、教育魅力化コーディネーターに相談したり、企画メンバーの方と打ち合わせを重ねたりすることで、だんだんとイメージを固めていきました。」

 

『灯篭流し』の企画について校長先生と教頭先生に説明する原田さん。

 

 

 

企画実現に向けての大きな課題として、

「なるべく多くの方に来てもらうにはどうすればいいか?」

「運営資金をどのように募るのか?」

という2点がありました。

 

 

運営資金については高校の「総合的な探究の時間」の予算を使う案もありましたが、「自分で汗をかいて、想いを伝えることでお金を集めてみたい」ということで、募金箱を作り、自ら町の中を歩きお願いして回りました。

 

すると、地元出身の原田さんの想いに賛同したたくさんの地域の方が応援してくださったこともあり、あっという間に目標額を超える寄付が集まりました。

 

 

この他にも、浜田市三隅町の「石州和紙久保田」さんを訪問して和紙を提供していただいたり、津和野町の「溝部林業」さんを訪問して木材を提供していただいたりと、多くの方に高校生の活動を後押ししていただきました。

 

ご協力いただいた方の多くは、これまでもツコウ生のプロジェクト活動でお世話になっており、過去の先輩たちのプロジェクトが別の形で生きたとも言えるかもしれません。

 

浜田市三隅町の「石州和紙久保田」さんを訪問。原料について教えていただき、灯篭に使用する和紙をご寄付いただきました。

 

 

 

また「多くの人に参加してほしい」との想いから、『灯篭流し』に向けて灯篭作りのワークショップを企画し、自身の出身校でもある津和野地区の小中学校にチラシを配って呼びかけました。

 

ワークショップには地域の小中学生と幼稚園児約15名が参加し、計140個ほどの灯篭をみんなで作成しました。

 

願いごとや絵が描かれた約140個の灯篭。子どもたちの想いが詰まっています。

 

 

 

 

色とりどりの灯篭がまちと人を照らした灯篭流し

 

そして灯篭流し当日。

高校生の有志と地域の方20名以上が準備のために集まり、目標としていた灯篭の数1000個に向けた灯篭作りと、下流の回収地点やステージの準備等を行いました。

 

約1000個の灯篭を出発地点に並べました。

 

 

 

津和野高校合唱部のステージや地元自治会による出店もあり、会場となった鷺舞広場には多くの人が集まりました。また、津和野踊り保存会による津和野踊りも始まり、日が暮れるにつれて会場は幻想的な雰囲気に包まれていきました。

 

津和野川では、高校生と地域の方が一緒になって、流れのある地点までバケツリレー方式で灯篭を運びました。

また川の中では、草木に引っかかってしまった灯篭を流れのある方へ押し返したり、回収地点でずぶ濡れになりながら灯篭を回収したりと、高校生が各所で活躍していました。

 

色とりどりの灯篭が川を流れる様子は美しく、訪れた人々を魅了していました。

 

津和野川を流れる色とりどりの灯篭。来観者からは「この景色に感動した!」との声も。

 

 

 

地域の大人の方からは、

「久しぶりに青春をしたような感じがして楽しかったです」

「人が集まる場があるのはやっぱりいいなと思いました」

「高校生がいてくれてよかったです」

「高校生の想いに刺激を受け、実現することができました。胸が熱くなりました。今後も続けていきたいです」

等のコメントがありました。

 

津和野大橋から眺める灯篭流し。

 

 

企画した原田さんからは、

「灯篭流しの復活に向けて、自分が思っていた以上にやらなければいけないことがたくさんあり、その度に多くの方に助けてもらいました。たくさんの方の協力のおかげで実施できたと感じています。

 

そして、今回の企画を通して生まれ育った町に恩返しができたことが嬉しいし、これからもできることをしていきたいです」

とのコメントがありました。

 

灯篭流しを実施した原田さんと津和野高校生有志

 

 

 

高校生と地域の方の想いが一つになって実現した伝統行事の復活が、まちと人を明るく照らした素敵な1日となりました。

 

「来年もまた見たい」という声を耳にすることもあり、地域の方からの灯篭流しへの期待の高まりを感じます。今後も高校生たちの「やってみたい」を支援していきます。

この記事を書いた人
中山純平
教育魅力化コーディネーター(高校担当)
中山純平
東京都出身。IT企業、大阪市や隠岐島前高校など公立高校での教員としての勤務を経て津和野へ。教員時代から「教えない授業」を展開し、生徒の主体性や生徒との対話を大事にしています。HAN-KOH講師として哲学対話や理系科目を中心とした学習支援、進学支援などのキャリア教育を行ったのち、高校コーディネーターへ転属。総合的な探究の授業設計を中心に、引き続き高校生との対話を重ねています。津和野高校の生徒はもちろん、先生も探究を重ねている姿が大好きです。