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ツコウ2年生の探究活動「ツコウセッション」の4回目を実施しました!

  • 牛木 力
  • 牛木 力

津和野高校(ツコウ)では、「やってみたい」を「やってみる」ことを大切にし、「総合的な探究の時間」をT-PLANという名前で一貫したプログラムとして設計・運営しています。

 

T-PLANでは、以下の3つの力を育てることを意識して取り組んでいます。

 

①「今、ここにあるもの」に気づき、それを活かす→資源や機会を発見し、生かす力

 

② 自分にあったやり方で社会に関わる→社会参画する姿勢や力

 

③ 経験したことを言葉にして表現する→学びを言語化する力

 

 

・ツコウの「総合的な探究の時間」の全体像についてはこちら

 

・1年生の探究講座”第2回ブリコラージュゼミ”の様子はこちら

 

 

 

 

2年生の探究活動「ツコウセッション」とは!?

 

地域の中で学びを深めたり、主体的に挑戦することを促すことを目的に、「総合的な探究の時間」の中で全5回の探究活動「ツコウセッション」を実施しています。

 

個人でプロジェクトや探究活動を進めるか、拠点となる地域(公民館)に出向いてチームで活動していくかを自身で選択しており、現在2年生の約6割は個人の探究活動に取り組み、約4割の生徒は高校から離れた4つの公民館に分かれて活動を行っています。

*「ツコウセッション」開始当初は、津和野公民館も含めた青原、畑迫、日原、左鐙の5つの公民館を拠点に活動していましたが、現在は、ツコウから歩いて行ける津和野公民館は常駐型の拠点にはせず、個人の探究活動内容に応じて津和野公民館を活用させていただいています。

 

2年生では、1年生で見つけた興味関心=「やってみたい」という想いや、今自分ができること、周囲から求められていること(地域の課題等)について、自分なりの社会との関わり方を模索し、実践しています。

 

そして、そこで得た学びを振り返り、言葉にしていく過程で自己理解を深めていきます。

 

また、地域の人と関わる中で、協働性やコミュニケーション力を育んだり、地域の役に立つ喜びを感じることで、自己肯定感を持って社会に関われるようになることを目指しています。

 

 

〇6月13日(木):1回目のツコウセッション

各公民館を拠点とした初回の活動では、地域を知るためのフィールドワークを行い、個人の探究活動はそれぞれの計画に沿った活動を展開しました。

・詳しくはこちら 

 

〇7月16日(火):2回目のツコウセッション

第2回目の活動では、1回目のフィールドワークで関心を持った施設を訪問して交流したり、今後のイベントの企画提案や話し合いを行いました。

個人の探究活動では、1年生の時の探究授業を通して興味関心を抱いたプロジェクトを実施した生徒もいました。

・詳しくはこちら 

 

〇9月12日(木):3回目のツコウセッション

第3回目の活動では、拠点となる各地区の人や資源の特色を活かした活動を展開しました。各公民館で具体的な活動が始まり、さまざまなストーリーが生まれました。
・詳しくはこちら

 

 

 

高校生自身が主体となり、自分たちが「やってみる」

 

第4回目の「ツコウセッション」は、11月5日(火)に実施しました。

地域に出向いてチームで活動してきた生徒も、個人で活動に取り組んできた生徒も、これまでのツコウセッションを通して積み上げてきた成果を発揮する場となりました。

 

各拠点(地域)での挑戦

青原公民館では、11月16日(土)に公民館で開催される行事に向けて、足つぼマットリレーを企画しました。スムーズにいくことばかりではありませんでしたが、「小さな子どもでも最後まで楽しめるイベントを企画し、実施してほしい」という目的・依頼に対して、大人も子どもも楽しめる時間を提供し、良い時間を作ることができました。

 

高校生が考えた企画に、まちのみなさんも自然と笑顔が溢れていました。

 

 

畑迫公民館では、これまでお世話になってきた畑迫に住む地域の方に向け、畑迫の宿泊交流施設「ほたるの宿」を利用して、石窯で自分たちで焼いたピザや、畑迫の栗を使ったクッキーでおもてなしをするイベントを企画しました。

当日は10名を超える地域の方にお越しいただき、畑迫で盛んに行われているフィンランド発祥のスポーツ「モルック」も行いながら地域の方と交流しました。

 

計画の中では「どうすれば地域の方との交流が深まるか?」がイメージできずに悩むこともありました。当日は調理に時間がかかってしまい当初の行程から変更を余儀なくされるなど、予定通りにいかないこともありましたが、全体を通して地域の方々に喜んでもらえたことで満足できる内容になりました。

 

高校生が地域の方に企画への想いを話しました。

 

 

 

日原公民館では、学童保育にて高校生と小学生の交流イベントを企画し、11月9日(土)に実施しました。小学生とうまく関わることができるのか、最初は少し不安そうな表情をしていた高校生でしたが、イベントが始まるとそんな不安もすぐになくなったようです。

 

計画していたドッジボールやクイズを、小学生はもちろん、高校生自身も楽しみながら行い、交流することができていました。小学生からは「また来てください!」と言われ、やりがいを感じることができました。

 

高校生が自作したクイズ、盛り上がりました!

 

 

左鐙公民館では、今回も地区にある保育園を訪れ、高校生が企画したハロウィンの紙芝居の読み聞かせや工作を実施しました。高校生は、自分たちの企画によって子どもたちが喜んでくれたことにほっとした様子でした。そしてこの活動を通して、事前準備の重要性を改めて実感したそうです。

 

その後、園児と山散策などを楽しんだ後は、左鐙公民館に移動し、さつまいも掘りや焼き芋体験を地域の方々と一緒に行いました。これまでやったことがない経験をさせていただき、左鐙の秋を感じるとともに、地域の方々との仲も深まりました。

 

芋を傷つけないように掘るコツも教えていただきました。

 

 

 

個人の活動での挑戦

津和野町で受け継がれてきた「とんぎり柿」をPRする活動に取り組んでいる三家本亜璃沙さんと山根しずくさんは、これまでの取り組みについて、山口県立大学の地域文化創造論研究室で発表しました。

 

ツコウの卒業生を通じて、大学からゼミでの事例発表を依頼されたもので、活動内容の発表のほか、ワークショップや自分たちで作った柿ジャムの試食会等も行いました。

 

発表後には参加者の方から、「柿に関する課題や現状を数量的に表現することは可能だろうか?」との問いをいただきました。新たな探究へつながる視点を得ることもでき、活動の意欲も一層高まったとのことでした。

 

山口県立大学での発表の様子。柿のへたをイメージした帽子を被っています♪

 

 

 

また、卒業などで不要になった制服の寄付を呼びかけ、集約し、必要な生徒に届ける活動を行ってきた宮田湧さんは、寄付した制服を受け取った生徒たちが予想以上に喜んでくれたことに感動し、今回がこれまでで最もやりがいのある瞬間だったと振り返っています。

 

そして今回はなんと、1年生の「総合的な探究の時間」の授業にて毎年実施している選択制体験講座『ブリコラージュゼミ』の講師として活動した生徒も2名いました。

 

 

〇藤田迅武さん:石見神楽の魅力を伝える講座を開催

藤田迅武さんは、日原神楽社中代表の林幸一さんにサポートしていただきながら、自身が続けている石見神楽の魅力を伝える講座を開催しました。講座では、受講した1年生5名が、石見神楽の人気演目である「大蛇」を通して、神楽の魅力とその難しさを体験することができました。

 

本物の大蛇の道具を使いながら、石見神楽を体験してもらう講座を実施しました。

 

 

 

〇小俣真央さん:津和野町を巡るサイクリングツアーの体験講座を開催

小俣真央さんは、これまで複数回開催してきた津和野町を巡るサイクリングツアーを後輩にも体験してほしいと考え、ブリコラージュゼミの一環として講座を行いました。

 

普段から自身の活動にご協力いただいている津和野体験Yu-naさんとともに、喜時雨(きじゅう)地区や鷲原八幡宮など、津和野の魅力的なスポットを巡るツアーを新たにつくりました。普段1人ではなかなかいけない場所の良さを味わってもらいたい、という思いで活動を続けてきた小俣さん。参加者からは、「新しい津和野が知れた!」という感想をもらい、達成感を感じることができたようです。

 

津和野体験Yu-naさんの協力を得ながら、自身でガイドを行いました。

 

 

 

今回のツコウセッションでは、生徒一人一人がそれぞれの場所で、様々な人に見守られながら挑戦し、成長を実感することができました。

 

次回12月19日(木)には、いよいよ最後のツコウセッションを行います。

最終回に向けて、どんな活動を行うのかを現在生徒たちがそれぞれ考えているところです。

 

そして2025年2月4日(火)には、これまでの活動を振り返り、成果や活動内容を発表する場を企画しています。地域のみなさまにもご参加いただけるような場にしたいと考えておりますので、また詳細が決まり次第ご案内します。

 

この記事を書いた人
牛木 力
教育魅力化コーディネーター
牛木 力
津和野町は大好きなまちで、ここに住めているだけでまず幸せです。H28年に津和野に出会うまでは、アメリカで、都市計画家が作る高校生向けプロジェクト型学習のプログラムに参画し、R2~5年度は、山形にある東北芸工大(コミュニティデザイン学科)で教員をしながら、新しい学びのあるべき姿を模索しました。今は世界最大の社会起業家ネットワーク、Ashokaの活動にも従事しています。日々、つわの学びみらいのメンバー、高校生、学校の先生、そして地域の志ある仲間と探究を続けています。